黒い龍は小さな華を溺愛する。



「どっから漏れたのか、親に殺されかけた子供って広まって。まぁ子供ってそういうの面白がるからな」


「そんな、いくら子供だからって酷い……」


「だからそいつらにいつか見返してやりてぇって思ってた。いじめられても休みたくねぇなって」



あ……それは私も同じだった。


見返してやりたいってそんな大それたことは思えなかったけど、休んだら負けな気がして。



「それから中学に入った時、宗佑とか今の仲間と出会って喧嘩も強くなったらいじめられることはなくなった。ちょっと道は外れたけどな?」


ちょっとどころじゃないような……。


でもその頃の常盤くんにとって、紫藤くんたちは希望の光だったのかもしれない。


生きる糧になっていたのかも。


そんな人たちが側にいてよかった。


「でも本当に強いヤツは喧嘩が強いとかじゃねーんだよ」


「そう……なの?」


「本当につえーのは沙羅みたいな奴」


「え!?」


「力で捻じ伏せないで立ち向かえるってかっこいいじゃん」


「それは……常盤くんに背中を押されたからであって……」


「俺はアドバイスしただけだし。今日のこともだけど、沙羅はどんどん強くなってると思うけど」


「えっあ、ありがとう……なんか恥ずかしいな」