黒い龍は小さな華を溺愛する。


近くで見るとまつ毛がすごく長いのがわかる。


目を瞑っている常盤くんなんてレアすぎ。


綺麗な顔……こんな人が私の彼氏だなんて信じられない。



ドキドキしていると



「見んじゃねー」


と目を瞑りながら言ってきた。



「なんでわかるの!?」



「わかる。沙羅のことならなんでも」



恥ずかしい反面、私の事なんでもわかってくれてるなんて、ちょっと嬉しかった。



「まつ毛長くて綺麗だなって思って……」


「ああ、遺伝だろーな。母親がそうだから」



私の前で初めてお母さんのことを話してくれた。



「と、常盤くんのお母さんって……」



篠原さんから前に少し聞いていたけど……本人の口からは聞いた事ない。



「施設にいるよ。……うちの親、精神疾患でさ。統合失調症ってやつ」



「あ……聞いたことある」



「俺が子供の頃離婚して、その辺から母親がおかしくなって。でも一生懸命だったのは覚えてんだよね。調子の悪い日があっても俺をちゃんと学校に行かせてくれてたから」


その話し方からしてお母さんを大事に思ってるのがわかる。


酔っているせいか今日はすごく饒舌だ。