黒い龍は小さな華を溺愛する。



それから2時間経って、私と常盤くんは夜景が綺麗に見える海辺にいた。



ここは来るときに紫藤くんと通ったところ。



さっきまで夕日に染まっていたこの場所も今は暗く、街灯の明りがないと真っ暗だ。



ベンチに座っている常盤くんは背もたれに寄りかかり、目を瞑って天を仰いでいる。



なぜかというと……



みんなお酒を持参していて、常盤くんや私に〝彼女ができたお祝い〟だなんて言って飲ませてきたから。



でも私は飲まなくてすんだ。



常盤くんが私の分のお酒も全部飲んでくれたから。


そのせいでこんな状態になってしまったんだよね……。



近くにあった自販機で水を買い、常盤くんに渡した。



「常盤くん大丈夫?これ飲んで」


「ん……わりぃな」


「具合悪くない?ごめんね、私の分まで……」



平気そうにどんどん飲んでいくんだもん……。


強いなぁって思って見ていたけど、さすがに量が尋常じゃなかった。



「水、いっぱい飲んだ方がいいんじゃない?」



私が横に座ると、チラッとこちらを見て私の肩に寄りかかってきた。



肩に……常盤くんの頭が!



って、酔うとこんなに甘えてくるの!?