黒い龍は小さな華を溺愛する。


「んー。変なとこで意思が強いねー?」


呆れたように笑う。


「常盤くんのことは何でも知りたいんだよ」


「わかったわかった。負けた。でも少しだけな?」


「うん!」


「絶対俺の側から離れんなよ?」


「わかってる」


常盤くんは優しく笑って私と手を繋いだ。


何度か手を掴まれて歩いたりはしたけど、両想いとわかってから繋ぐ手はなんだか新鮮で。


少し照れくさいけどすごく嬉しかった。


常盤くんも同じように思ってくれてたなんて信じられないけど……。


ううん、常盤くんは相羽くんみたいに嘘つく人じゃない。


いつも真っ直ぐな気持ちでいる人だから。



賑やかな場所へ戻ると、常盤くんは色んな人に私を紹介してくれた。


中には冨貴くんもいたけど、なぜか初めて会ったかのような挨拶をしてくれたのが不思議だったけど。


暴走族って今までイメージが悪かったけど、同じチームの人たちはみんな優しくて話しやすかった。


常盤くんがこういう人だから周りに集まってくる人たちもみんな良い人なのかな。



一緒にいる間、常盤くんは私の側から決して離れることはなかった。