「それは……私も常盤くんのこと……す、好きだから……頑張れたんだよ?」
「……」
常盤くんは何も言わず上から私を見つめる。
「さっきも言ってただろ、俺の好きなとこみたいな……あーいうの素直に言えるところすげーいいんだけどさ、やばい」
「やばい……?」
「調子狂うってこと」
私の頬に手を添えて、二人の距離が近くなるのを感じた。
あ……キスされ……
私は目を静かに閉じた。
しかしもう少しで唇が重なるっていう時に常盤くんの動きが止まった。
「……嫌じゃねーの?」
「え……」
「すげぇしてーけど……あいつらのこと思い出すんじゃねーかって……」
あ……
常盤くん、もしかしてずっと気にしてくれてたのかな。
「全然嫌じゃないよ。常盤くんはあの人たちとは違うから」
私を壊れ物を扱うかのような手つきで優しく包み込んでくれている。
この人は暴走族の頭なはずなのに……
恐怖なんて全く感じない。
逆に離さないで、なんて思ってしまう。
静かに目を閉じると唇に常盤くんのぬくもりを感じた。
二回目のキスはとても暖かくて、優しかった。
目を開けるとを常盤くんは少し微笑んで、
「自分が怖いんだけど」
と呟いた。



