黒い龍は小さな華を溺愛する。


逆光で常盤くんの表情がよく見えないけど……

口元が優しく微笑んでいるのはわかる。


「頭ん中、沙羅でいっぱいなんだけど」


「え……」


「どうしてくれんの?」


そう言って再び私を抱きしめる。


それって、それって……。

顔が熱くなっているのが自分でもわかる。

心臓がバクバクなっていて、きっと常盤くんにも聞こえているだろう。


でも私の音とは違う、もう一つの心臓の音も伝わってきて……


「と、常盤くん、もしかしてドキドキしてる……の?」


「口に出して言うなよ」


恥ずかしいのか笑っている。


どうしよう、男の子にこんなこと思っていいのかわからないけど……


可愛い……。


「沙羅にはちゃんと言わねーとわかんねーよな」


「なにを……?」


「好きだってこと」



私の手を引っ張り、常盤くんの胸に当ててくる。

私と同じ速さで鳴る心臓の音に、顔が熱くなる。



「えっ……私を好き……?」


「ん。てか今までの俺の言動とかで気付かねぇ?」


「全然……」


「やっぱー。言ってよかった」


「まさか……嘘みたい」


「嘘じゃねーから。今日改めて思ったけど……あんなに自信なかったのに、俺のために頑張ろうとしてるとことかマジでくる」