黒い龍は小さな華を溺愛する。



そのまま私の手を握り歩き出すと、今度は紫藤くんが声を掛けてきた。


紫藤くんは少し気まずそうな顔をしながら笑っている。


「ゆ、夕晴!サプライズしよーと思ってたんだって!そう怒んなよ!」


私の前を歩いている常盤くんの表情は見えなかったけど、そんなに怒ってるの!?


私が勝手にここに来たから……!?


「てめぇが連れてきたのか?この格好させて」


「常盤くん!違うの、私が無理に紫藤くんに頼んでここに連れてきてもらったの!だから怒らないであげて……」


「沙羅ちゃーんっ」と紫藤くんが私の後ろに隠れる。


しかし常盤くんの手によってすぐに離された。


「こいつの単車に乗ってきたんだろ?」


「え、う、うん……」


怖くて目を合わせられなくなってしまった。


いつも俯くなって言われてるけど今は無理だ。


「宗佑、あとで話ある」


「はぁ……わかってるよ」


肩を落とす紫藤くんにそう言うと、再び私の手を取り歩き出した。


「あっ……紫藤くんっごめんね、あとでね!」


紫藤くんは私に苦笑いしながら手を振った。