「うるせーな、もういいだろ」
常盤くんがそう言い、私の腕をつかみ自分の方へと引っ張る。
その行為にドキッとしてしまった。
その時、神楽のアタマが常盤くんに向かって声のトーンを落として言った。
「秋元に気を付けろよ、この前あいつが言ってたらしいぞ〝常盤の側にいる女でとんでもねぇ美人がいるから探せ〟ってな」
それを聞いた常盤くんの顔が険しく歪む。
神楽のアタマが「この女のことだろ?」と顎でしゃくった。
まさか……違うよね。
あの時はまだ紫藤くんに変えてもらってなかったし。
「ちげーよ……」
常盤くんがそう呟く。
うん、違うんだ、私じゃない。
ほっとしたのに、常盤くんの側にはすごい美人な人がいるんだと思ったら落ち込んでしまった。
当たり前だよね、こんなに素敵な人だもん。
「へぇ、まあいいけど。気を付けろよ?あいつらどんな手段使ってでもその女を奪いに行きそうだからな。……でもこいつじゃねーなら関係ねーか」
笑って私の顔をチラっと見た。
「ああ、関係ねーな。あとちょっと二人にしてくんね?」
常盤くんがそう言うと、神楽のアタマは「わかったわかった。付き合いたてはお盛んだもんねー」と笑いながらどこかへ行ってしまった。



