黒い龍は小さな華を溺愛する。



常盤くんの背後にいる私を覗き込むように見てくる。

蛇のような目つきが怖い。神楽っていうチームのアタマって言ってたもんな……。

きっとこの人も喧嘩が強いんだろう。



「こんな可愛いんじゃ、隠したくもなるよなぁ」


「だからもうこんな風に女とか紹介しなくていいから」



「あー残念!お前に紹介すると稼げんのに」


「そーいうのやめろ。こっちは迷惑なんだって」


二人が笑いあっている横で、蚊帳の外となった絵里沙ちゃんはすごい不機嫌になっている。

そしてこの神楽のアタマの彼女さんと耳打ちしてどこかへ行ってしまった。

絵里沙ちゃんごめんね……。

絵里沙ちゃんも常盤くんのこと好きなのかもしれないけど……。

〝偽カノ〟の席だけはどうしても譲りたくないんだ。

って、以前の私だったらこんなに強気になれなかったのに。

私も少し成長できてるってことなのかな。


「黒龍もついに女ができたかぁ」


その言葉にドキッとした。

秋元さんが前に言ってたこと、本当だったんだ。

常盤くんが〝黒龍〟と呼ばれてるって。