黒い龍は小さな華を溺愛する。


見てると次々色んな女の子が寄ってきては常盤くんについてったり、体にベタベタ触ったり……。

すっごいモヤモヤしてしまう。


「あれ、あの子見たことねぇ?うちの学校?」


紫藤くんの指さす方を見ると……


平永絵里沙!?


彼女が常盤くんに近づいていくのが見えた。


なんで絵里沙ちゃんが……!?


常盤くんも驚いてる様子だった。



「あ、思い出した!去年のミスコン優勝者!」


横で紫藤くんがすっきりしたような顔をしている。


「うん……可愛いよね」


サラサラの髪の毛に笑うと天使みたいな美しさ。

女の私から見ても可愛いって思うもん。


「でも沙羅ちゃんも全然負けてねーけどなぁ、ってか俺は沙羅ちゃんの方がいい!」


「あはは、ありがとう……」


「あ、神楽のアタマの女の友達って……あの子だったんだな」


絵里沙ちゃんの側には白い特攻服を着てる男の人と、その横に綺麗な女の人もいた。


さっき冨貴くんが言ってた、常盤くんに会いたいっていう美人は絵里沙ちゃんのことだったんだ!


常盤くんは笑ってるけど、なんだか嫌そうな……疲れて見える。


それなのに特攻服着てる人が、絵里沙ちゃんをわざと常盤くんの方にくっつけさせようとしてるみたい。


絵里沙ちゃんは嬉しそうに常盤くんの腕にもたれかかったりしている。


でもそれを少し嫌そうに避けている常盤くんを見ていたら……



自然と足が動いていた。