黒い龍は小さな華を溺愛する。


見ると、バイクから降りた常盤くんのところに数人が駆け寄って行った。


女の子たちは肩や足が露出している服を着ていたから、私の格好が目立たなくてよかった……と思う反面、みんな常盤くん好みなんじゃないの!?と不安になった。



「夕晴おそーい!」


「ごはん食べたー?私からあげ作ってきたんだけど食べない!?」


「夕晴、髪色変えたんだけどどうー?」



みんなそれぞれ必死に話しかけているようだった。

からあげ作ってきた子までいるの!?

クラスの女子に話しかけられてる時の無愛想な常盤くんとは違って、笑って話してる姿に胸が痛んだ。

でも……ちょっと無理してる気がする。



「夕晴さー、あんな風に笑ってっけど本当は嫌なんだよな」


「え、そう……なの?」


「うん。チーム内の知り合いとか友達の女とかばっかで蔑ろにできねーんだよ。あいつアタマだしそういう雰囲気壊したりしねーよーにしてんじゃねーの?」


確かに学校での常盤くんとは別人のような対応。


「普通男の子ってモテたら嬉しくない?常盤くんはそういうのないのかな」


「いや、もう散々モテすぎて嫌気がさしてんだって。俺はそんな風に思ったりしねーけどさぁ!」