黒い龍は小さな華を溺愛する。


「いや、今回はそういう感じじゃねーんだよなー」


紫藤くんが笑いながら私の顔を見たので思わず俯いてしまった。


「でもよぉ、夕晴が女できたって知れ渡ったら大騒ぎになんな。今日だって夕晴めあてできてる女も山ほどいるぞ?神楽のアタマの女いんじゃん、そいつの友達ってやつが来てんだけどめっちゃ美人でさぁ、夕晴に会いたいって言ってたしな」



そうなんだ……

そーいう女の子が沢山いる集会に常盤くんが来るのは……嫌だな。

なんて、本当の彼女でもないのに嫉妬してしまう自分が恥ずかしい。



「まぁあんた美人だから女らは納得すると思うけど……気を付けな?中には変な奴もいるから」


「はい……」



私を見て納得してくれるとは思えないけど……。


その後も紫藤くんは私と一緒にいてくれて、他愛のない話をしていた。


常盤くん来ないな……でもこんなに女の子がいっぱいいるところに来てほしくないとも思っちゃう。


その時キャァ!と黄色い声が離れたところから聞こえた。


「あ、夕晴じゃね?」


隣にいた紫藤くんがそう言った。