黒い龍は小さな華を溺愛する。


「おおー!沙羅ちゃんいいじゃーん!」


リビングに戻ると、メイク道具を片付けていた紫藤くんが私を見て喜んでくれた。


「こんな格好で本当に大丈夫かな……」

「大丈夫も何も……最高っすよ、姉さん」


両手を口に添えて悶絶している。


「それならいいんだけど……」

「夕晴以上に輝いてっから!自信もちな!」


紫藤くんはほんと自己肯定感を高めてくれるな……。


私たちは篠原さんにお礼を言って店を出た。


やばい、本気で緊張してきた……。

紫藤くんのバイクの後ろ座席に乗り、集会があるというふ頭公園の近くに着いた。

遠くにある工場の夜景が綺麗に見える。

この場所でいつも集まることが多いらしい。

夕焼けと夜空のコントラストが綺麗な今の時間が一番好きだな……。


「夕晴まだきてねーって。でも行ってみる?」

紫藤くんがスマホを見ながらそう言った。


「う、うんっ」

再びバイクを発進させて人だかりができているところまでやってきた。

派手な色の車やバイクが沢山あって、音楽も爆音で鳴らしていたり。

エンジン音と楽しそうな笑い声が響き渡る。