黒い龍は小さな華を溺愛する。


「まぁ今日は俺か夕晴のそばにいれば間違いないから。安心して?」


「は、はい……」


怖がっていちゃだめだ、偽カノだってバレないようにしなきゃ。


「あー俺ってやっぱ天才!」


「……終わった?」


「うん!沙羅ちゃんは素材良いからメイクが映えるな。夜だしちょっと派手めにしたよ?」


鏡を見ると髪が巻いてあったり、メイクが濃いけど違和感はない。

さすがだなーと思っていると、紙袋から可愛い服が出てきた。


「妹の借りてきた!今日はこれ着てみて?」


「え!妹いたんだ?」


「そ。一個下だからガチ喧嘩ばっかだけどねー」


見るとお腹が出るくらい短いニットに、下がショーパン。

短いブーツまで用意されていた。



「紫藤くん……これ布足りなくない?風邪ひきそう……」


「だからいーんじゃん!着てみてよ!」


「無理だよーっ」と言ったけど、この髪形とメイクに合う服なんか持っていない。


「夕晴、こーいう女の子っぽい格好好きだよ?」


「そーなの!?」


意外だった。こんな感じが好きだったなんて。

常盤くんも男の子なんだなー……。