黒い龍は小さな華を溺愛する。



「うん……でも常盤くんが怒ってくれただけで十分。もういいの。画像も消えたんだから」

「SNSのはすぐ削除されたらしいけど、学校の奴らには勘違いされたままだろ?」

「そうなんだけど……もう最近は画像の事言う人いないし、きっと忘れてると思う。私もまた掘り起こしたくないから……いいの」


みんなの私に対する態度が変わってから、私は平穏な日々を送れている。

だからもうあの事はみんなに忘れててほしい。


「沙羅がそれでいいならいいけど……なんか言われたらすぐ言えよな」


「うん、ありがとう」


「あれから伊田は沙羅にひどい事したって悩んでたって。チクればいじめの標的にされると思って誰にも言えなくてしんどかったって言うから、沙羅はもっと苦しんでるって言ってやった」


「そうだったんだ……だから伊田くんも最近休みがちだったんだ」


そう、信じてた私の心があの日ズタズタにされて。

修復もできないくらいで。

でも常盤くんの温かさが傷だらけの心を癒していった。


「どうしてここにいるってわかったの?」


「伊田から電話きたんだよ。〝あいつがまたなんか企んで宇崎さんを裏庭に呼んでる〟って」


あの電話……もしかして伊田くんだったの!?

伊田くんが常盤くんに連絡していなかったらと思うと怖くなった。