黒い龍は小さな華を溺愛する。


「いってぇ……って、常盤……!?なんでここがっ」


常盤くんは近くに落ちた相羽くんのスマホを拾うと、

バキィッ!と、勢いよく割ってしまった。

スマホってあんな簡単に壊れてしまうものなのか。


「あ……お、俺の……スマ……ホ……」


それを見た相羽くんの顔が真っ青になった。

私も驚きのあまり声が出ない。


「これでもう脅すこともできねーなぁ?」


笑いながら相羽くんに近づいていく。

そして壊れたスマホを地面にたたきつけると上から思いっきり踏みつけた。


「うわぁああああ!」


粉々になったスマホを慌てて拾う相羽くんは、かなり取り乱していた。

常盤くんはそんな相羽くんの横にしゃがみ、


「なぁ、さっきの画像とか動画、もうどこにもねえよなぁ?」


と顔を近づけ、舐めるように睨みつけていた。


あのこと……知ってるの?

私の心臓はバクバク音を立てていた。

手の震えも止まらなくて。

あんなの常盤くんに見られたら……私は……。


気を失いそうになるのを必死に耐えた。