黒い龍は小さな華を溺愛する。


少し鼻をかすめる煙草の香り。

常盤くんって煙草吸うはずなのに、私がいるときは絶対吸わないな……たまたま?

それとも気を遣ってくれてるのかな。


「そういや……今度集会があんだけど……」


「集会?」


「前に宗佑が言ってただろ、月一で仲良いチームの頭が集まるんだよ」


「あ……」


〝どこの頭も女連れてきてるのに夕晴だけいつもいねぇ〟って言ってたっけ。

だから常盤くん狙いの女子がしつこいって……。


「今回宗佑がすげーやる気で当日沙羅をめかしこむみたいなこと言ってて。でも俺は来なくていいって思ってる」


「え!?なんで!?それじゃ意味がないんじゃ……」


「別に体調悪いとかなんとか理由つければいいし。だから宗佑に何言われても絶対くんなよ?」


「そんなっ……」


私ばっかり常盤くんに助けてもらってて、全然恩返しもできてない。


「沙羅が思ってる以上にあぶねーとこだから。軽い気持ちで行くとこじゃない」


この調子じゃ考えを変える事はなさそうだ。