黒い龍は小さな華を溺愛する。


「さ、されないよ!」


……というのは嘘……なのかな。

実は接客中に番号聞かれたり、LIMEのID書いてる紙を渡されたりもした。

もちろん連絡とるつもりはないけど……


「ほんとかよ」


「そんな物好きな人いないから」


すると、はぁっとため息をつかれた。


「なんもわかってねーな……」


常盤くんって本当心配性。

私だってもう子供じゃないのに。

話を逸らすために律くんに会ったことを話した。

すると常盤くんも「お前らは似てる」なんて言って笑っていた。

そして律くんとのことを楽しそうに話し出す。

常盤くんにとって律くんは弟みたいな存在なんだろうな……。

私の事もきっと妹みたいな感じに思ってそう。

なんだか少し残念な気持ちになってみたり。



母に会ってほしくないから今日はアパートの近くで降ろしてもらった。


「わざわざありがとう……」


「沙羅がバイトの日は毎回送るから覚えてて」


「そんな!悪いよ」


「いい。俺がそうしたいだけ」


そう言って私の頭の上に手を乗せてきた。