黒い龍は小さな華を溺愛する。



「あ!やばいもうお店開店してるんだったー!」


「ブッ。なにやってんの……沙羅さんおせっかいだからじゃん」


「ごめん、ごはんも冷めちゃったよね……」


「俺の事はいいから早く行ったら?」


「うんっ……ごめんねっ!またね!」


慌ててお店に戻ると店内はすでに混雑していた。


「篠原さんすみません!律くんと話しこんじゃって……」


「え、律と会話したのかい!?」


「はい、最初は警戒されてましたが……なんだか私と律くんって似てるところもあって」


「そうか。こんなに早く打ち解けられるとは沙羅ちゃんも大したもんだなぁ。ありがとう……これからも律の話し相手になってくれるかい?」


「もちろんです!」


打ち解けてくれたかはわからないけど、私の話もちゃんと聞いてくれる子だった。

きっと篠原さんともまた普通に笑いあえる日がくるはず……。


その後ひっきりなしにお客さんがやってきて、私は厨房だけではなく接客もこなした。

こんなに動ける自分に驚いたけど、できる事がどんどん増えていくのは楽しかった。


常盤くんの言うとおり……ここで働いてたら余計なことを考えてる余裕もない。

嫌なことも忘れられた。