黒い龍は小さな華を溺愛する。



「え?」


「私も……少し前まで心を閉ざしてたから……わかるの。私も片親なんだけどね、その1人の親にすら愛されてない……人間だから」


こんな風にハッキリ言葉にするの辛いな……。

でも律くんの反応がさっきと違う感じがする。


「親に愛されてない……か。俺も同じ」

「同じじゃないよ!篠原さんは律くんのことちゃんと思ってる。それはすごく感じるよ!このご飯だって……忙しいのに律くんのためにすぐに作ってさ……」


律くんはじっとご飯のトレーを見つめていた。


「私はね、親に不細工なんて言われて……」


「は!?ありえねぇ……」


「だから自分にもまるっきり自信がなかった。学校ではいじめに遭うし、だんだん人も信じられなくなって……」


「それで……どうやってそんな変われたの」


「常盤くんって……知ってるよね?」


「夕晴?」


「うん……彼が私の外見も中身も変えてくれて」


常盤くんの名前を出したら律くんの目つきが変わった。


「やっぱ夕晴はすげーな」


「律くんも常盤くんのおかげで少し変われたんじゃないの……?」


「まぁ……。あいつはさ、他の大人たちみたいに学校にいけいけ言わないから。ただ俺を色んなところに連れてってくれんだ」


「色んなところ?」


「釣りに行ったり、夕晴の友達とバーベキューしたり。ただの公園でも夕晴が一緒だと楽しくてさ」


なんか常盤くんらしいな……。