黒い龍は小さな華を溺愛する。



篠原さんは少し寂しそうに笑った。

律くんのことすごく心配してるんだなっていうのが伝わってくる。

うちの母とは全然違う……。


篠原さんは手際良く炒め物を作り、ご飯やみそ汁と一緒にトレーに乗せた。

愛情たっぷりの手作りごはんが少し羨ましく感じた。


「沙羅ちゃん、悪いんだけどもう店開けなきゃねーから、これ律に持ってってくれるかな。さっきから呼んでもこねーから」


「わかりました!」


「行けばわかると思うけど、二階の一番奥の部屋だから」


「はい!」


こぼさないようにそっと二階へ運び、部屋のドアをノックした。


「律くん?沙羅です……お父さんに頼まれてご飯を……」


ガチャッ


ドアが開くと「どーも……」と、細い声でそう言い私からトレーを受け取った。


「あの……お父さん、すごく律くんのこと心配してたよ……?」


「……え?」


「ごめんね、ちょっと聞いたんだ……」