黒い龍は小さな華を溺愛する。


やっぱり自分に似てるな……。

律くんの目が特に。人見知りなのかもしれないけど、自信がないような伏し目がちな感じが前の自分を見ているようだ。

私も未だに初対面の人には身構えてしまうけど。


「沙羅ちゃんごめんなー……悪気はないんだが……」


「いえ!気にしないでください。律くんの気持ちもわかりますし……。それより篠原さんにお子さんがいたなんて知りませんでした」


「言ってなかったもんなぁ。あいつ……ずっとひきこもっててな」


「そうだったんですね……」


「あれでも良くなった方なんだよ、ちょっと前までは不登校で俺がいくら言っても学校に行こうとしない。でも夕晴のおかげで数か月前からチラホラ行けるようになったんだ」


さすが常盤くんだな……。

私たちみたいな人間を放っておけないタイプなんだろうな。

どんなふうに説得したんだろう。


「律が不登校になったのは俺の離婚のせいでもあるからなぁ……責任感じてるんだがなかなか親には心を開いてくれねーんだ。夕晴はどんな魔法を使ったんだか」