「ねえ、夏菜のお父さんって会社経営してるって言ってなかった?」

「うん?してるよ」

「もー、そこで雇ってよぉ」

「あんたねぇ……」

「そういえば、夏菜は別の会社に就職したよね。お父さんの会社手伝わなくていいの?」

私の問いに、夏菜はため息深く一蹴した。

「いやよ、何で好き好んで家族と働かなくちゃいけないのよ」

「そういうもの?」

「そういうものよ!」

ふん、と鼻息荒くする夏菜だけど、未だ内定ゼロの私には羨ましくて仕方ない。

ま、夏菜のお父さんの会社がどんな会社かまったく知らないけれど。

「まあいいじゃない。親のすねをかじれるだけかじっておきなさいよ」

「ううっ。それももう時間の問題かも。かなり親からプレッシャーかけられてるよ。このままじゃニートになっちゃう」

泣き真似をする私を夏菜はカラカラと笑い飛ばし、じゃあまた電話するわ~と陽気に会話は終了した。

夏菜と話したことでほんの少しだけやる気になった私は、また求人情報とにらめっこしたのだった。