宿泊先の松風にはずいぶん遅くチェックインさせてもらい、一段高くなった畳の部屋にはすでに布団が敷かれている状態だった。
二組くっつけておくとは、なかなか粋な計らいをしてくれる。
俺の中の松風に対する評価が一段階上がった。
単純だなんだのと言ってくれて構わない。

「俺がどれだけ千咲のことを待っていたと思う?」

「あ、えっと、どれだけって、……待ってたんですか?だって私、フラれてますよね?」

「それはお前の勘違いだ。俺はフってない」

「付き合えないって言いましたよ」

「今は、付き合えないと言っただろう?社会人になりたてで仕事が大変だったんだ。それに、さすがに高校生と付き合うわけにいかないからな」

「もしかして、……わきまえてたってことですか?」

「まあ、そういうことだ」

「え、だって、だって!」

「だがもう我慢する必要はなくなったな。千咲も大人になったし。今日はもう仕事も終わった。思う存分千咲を堪能できる」

固まった千咲は何かを考えているようだったが、そんなのは無視だ。
せっかく二人っきりなのだから、ここぞとばかりに甘やかして愛し尽くしてやりたい。

触れた唇はやはり柔らかく食べてしまいたいほど。
理性なんて簡単に吹き飛ぶ。
だがしかし。