ドキドキと高鳴る胸を抑えるべく深呼吸をしながら休み休み部屋に戻ると、一成さんはふかふかの布団に転がってすやすやと寝息をたてていた。

なんだ、一成さんが一番疲れているんじゃないの。

拍子抜けしてしまって思わず笑みがこぼれる。

一成さんは塚本屋の副社長という立場で毎日頑張っているものね。
今日だって挨拶回りで大変だっただろうし、それなのに私のことも捜してくれて病院まで迎えに来てくれた。

綺麗な寝顔はいつまででも眺めていられる。
まったく目覚める気配のない一成さんにそっと掛け布団を掛けてあげる。

「一成さん、おやすみなさい」

そっと頬にキスを落とした。

……うん、我ながら大胆だ。
自分からしておきながら羞恥心が襲ってきて頬が熱くなる。

静かに照明を落として、私もいそいそと布団に潜り込んだ。
ふかふかの布団の中、一成さんの綺麗で規則的な寝息を聞きながら、私もすぐに眠りに落ちていった。