「今日は疲れただろうから、ゆっくり温まってくるといい」

「はぁい」

部屋に備え付けられていた可愛い色浴衣を持って大浴場を訪れた私は、時間も遅いこともあって貸し切り状態でお風呂を堪能していた。

露天風呂ではふわりと湯気がくゆる様がゆったりとした気持ちにさせてくれる。
たくさんの星も見える中、大きな湯船に手足を伸ばして贅沢に浸かった。

今日はいろんなことがあった。
まずは自分を労ろう。

それから……。

一成さんと両想いになっちゃった。
まさかまさかの出来事だけど、嬉しくてたまらない。

高校生で未熟だった私をずっと待っていてくれたのだろうか。
それくらい、自惚れても罰は当たらないよね?

今の私は大人になっただろうか。
部屋に戻ったら一成さんと……。

「はっ!」

またあらぬ想像をしてお湯に潜りかけてしまった。

こんなことで恥ずかしがっている場合ではない。
むしろこっちから迫るのが大人ってもんでしょう!

ぐっと拳を握って気合いを入れてみるも、脱衣所の鏡に映った自分の体は貧相で、特にぺちゃんこの胸にがっくりしてしまった。

こんなんじゃ一成さんに迫るどころか幻滅されてしまうかもしれない。
この可愛い色浴衣でどうにかごまかせないだろうか。

淡い桃色の浴衣に橙色の帯。
崩れないようにきゅっと帯を締めると、気持ちまで引き締まるようだった。