「そういえばもうすぐクリスマスだね」
下着姿で煙草に火を付けながら、アイが言った。
そういえばあと2日でクリスマスイブだ。
「なにかプレゼントあげよっか?」
ボクが尋ねると、
「ううん、キミと知り合えたことが神様からのプレゼントだよ、・・・なんてね」
そう言いながら、アイは照れ隠しに舌を出した。
ボクは強く抱きしめて、キスをした。

ただホームで眺めている頃は、とてもクールな印象で、
今、目の前にいるアイとはまるで別人のようだった。
ときおり見せる幼い笑みが可愛らしくて、
これを独り占めできるボクは最高に幸せ者なんだと思った。

クリスマスイブには、アイの部屋でチキンとケーキを食べ、
朝まで愛し合った。
ボクも、アイも、それだけで満たされた。

いつの頃からか、ボクはアイの部屋に居座るようになり、
バイトもアイの部屋から通うようになった。
自分の家には週に一度、着替えを取りに行くために帰るだけだった。

ほぼ毎日、ボクとアイは一緒に過ごしていたが、
毎週金曜日くらいになると、夕食前にアイの携帯が鳴り、
アイは慌てて外に出てなにやら話し、
「ごめん、仕事でこれから出掛けなきゃ」
と言って化粧を直し、
「夕食は一人で食べてね、ごめんね」
と言ってキスを交わし、出て行くことがあった。
そして大概、深夜3時、遅い時は明け方まで帰ってこない。