目が覚めたのは、一時限目の講義もとっくに始まった頃だった。
お兄ちゃんはもう仕事に行っていた。
のろのろと準備して大学へ向かった。

お兄ちゃんのあの言葉の意味は、なんだったのだろう。

ずっとそのことばかり考えてぼんやりしたまま一日を過ごし、帰ろうとしたところで、

「新井」

呼び止めたのは、昨晩の本田くんだった。

「本田くん、その、昨日はごめんね。大丈夫だった?」