しらすの彼

「あのスーパーで顔を合わせるようになったのは……君の近所に住んでいたのは、本当に偶然。君が小野と関係があると知ったのは、あいつが君をつけてきた日。まさか知り合いだとは思わなかった。どうしたものかと上と相談したんだけど、うまくしたら今度こそ小野を起訴できるかも、ってことになって」
「やっぱり、囮にしたんですね」
 私が呟くと、相良さんは眉間にしわを寄せる。

「ずいぶん迷ったんだ。君は何も知らない一般人だし。だからあのまま小野を泳がせようって決まった時に、絶対君を守るって決めた。傷一つつけないように、俺が守るって。あ、万が一のために設置した防犯カメラ、あとでちゃんと撤去しとくから。ちなみに、部屋の中にはなにもしてないから安心して」
「……だったら、ちゃんと話してくれればよかったのに。勝手です」

 事前に話してくれれば、こんな風に怖がらなくてもよかったかもしれない。
 守秘義務のある仕事だから仕方ないとは思うけど。でも。

「うん。守るとか勝手に思ってても、怖い思いさせちゃったしね。巻き込んじゃって、本当にごめん」
 そういうことがあったから、あの日、相良さんは私の家の前で見張りをしていてくれたんだ。
 そう言ったら、相良さんは私を気遣いながら言った。