しらすの彼

「いえ……」
「彼女のことは、俺の方にまかせてください」
「わかりました。では、私は先に戻っておりますので」
 その人は相良さんに挨拶すると、警察官のあとを追って出て行った。

「相良さん……」
「どこかけがはない? 気分は?」
 心配そうに見つめる相良さんを、じ、と見つめる。

「どういう、ことですか?」
「うん。全部、話すよ」
 問いかける私の手をとって立たせようとするけれど、立てなかった。
 実はずっと、腰が抜けてしまったらしくて足に力が入らない。
 その様子に気づいた相良さんは、すとんと私の隣に座った。

「あいつ、以前いた学校でも同僚や近所の女性に同じようなことをしていたんだ。被害者はわかっているだけで数人いるし、もしかしたらまだいるかもしれない。けど、うまく立ち回って起訴するところまでは持っていけなかった。県警でも、ずっと目をつけていた要注意人物なんだよ」
「相良さん、警察官だったんですか?」