しらすの彼

 やっぱり直接話したい。今とても、あの笑顔が見たかった。
 迷ったけれど、連絡をするのはやめた。

 今日はもう遅いもの。また、早い時間の時に、連絡してみよう。

 それでも、未練がましくいつものスーパーに寄ってみる。店内をうろうろしてみたけれど、相良さんは見つけられなかった。
 今日はお仕事早いって言っていたから、もう帰っちゃったかな。

 そんな風に考えている自分に気づいて、つい笑んでしまう。
 私、思っているよりずっと、相良さんの事好きなのかも。

 結局何も買わずにスーパーを出て、部屋に帰ることにした。
 アパートの階段をあがって、部屋の鍵をあけた、その瞬間だった。

 どんっ。
 いきなり突き飛ばされて、私は部屋の中に倒れ込む。

「きゃっ!」
「静かにしろ」
 後ろ手にドアを閉めたのは、小野先生だった。全身の血の気が引く。