しらすの彼

 職員会議が終わって帰る頃には、すっかり暗くなっていた。
 いつもなら小野先生が誘ってくるのだけれど、今日の小野先生は今までの態度が嘘のように私に話しかけてくることはなかった。恋人のいる女には興味がなくなったんだろう。なんにしろ、これでようやく安心して出勤できる。

「小野先生、よかったらこれからお食事でもどうですか?」
 今日は、沢田先生と山口先生が小野先生を誘っていた。
「ありがとうございます。けれど、今日はこれから用事がありまして。ぜひまた誘ってください」
「まあ、それは残念です」
 ちら、と山口先生がこちらを見たけれど、私はのんびりと帰り支度をする。

 もう小野先生から逃げるように急いで帰らなくてもいいんだ。
 いつもとは違う軽い足取りで、私は職員室を出た。

  ☆ 

 改札から出ると、遅い時間のせいか人はまばらだった。軽くあたりをみまわすけれど、相良さんの姿はない。
 時間も言ってないし、当然だよね。それでも、ちょっと寂しいなんて思っている。
 私は、スマホを取り出す。