しらすの彼

 朝礼が終わった後、さっそく相良さんに連絡する。
『小野先生は、すみませんと謝ってくれました。相良さんにもそう伝えて下さいとのことです。なにもなくて安心しました』
 すぐに既読になる。しばらく待っていると、返信が来た。

『それはよかったです。けれど注意は怠らないで。先日言ったことは必ず守ってください。今日は俺も早く帰れそうですが、駅で待ち合わせしますか?』
『今日は職員会議があるので、私は遅くなるんです。でももう心配することはないので、一人で帰りますね』
 わかりました、と返信が来るまではかなり時間がかかった。

 スマホをしまって、安堵の息をつく。

 本当に、いい人だな、相良さん。終わってみれば、私が一人で騒いでいたみたいでちょっと恥ずかしい。
 怖い思いもしたけど、相良さんと縁ができたのは嬉しかった。お礼も兼ねて食事でも、なんて誘ったら、図々しいって思われるかな。でも、お礼はしたいな。
 相良さんに、これからも話しかけても、いいかな。

 そう考えて頬が緩んでしまった私の姿を、小野先生が遠くからじっとみていることには気づかなかった。
 
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