しらすの彼

「浅木さんさえよければだけど、時間が合えば、駅からここまで俺が送ろうか?」
「いえ、そんな! 相良さんに、そこまでご迷惑をおかけするわけにはいきません」
「どうせ俺も帰るんだから、ついでだよ。もちろん、毎日ってわけにはいかないけど」

「そうですね……それでしたら、時間の合う時だけお願いできれば、嬉しいです。私の帰る時間はだいたいいつも同じですから」
 実際、駅からスーパーまでは結構人通りがあるけれど、アパートの近くは住宅街になってしまって寂しい道が続く。暗くなってからひとりで帰るのは、少し怖い道だった。

「よかった」
 ほ、とした相良さんの様子に私も安堵する。それから連絡先を交換すると、相良さんは食事のお礼を言って帰っていった。
 そういえば、一体なんのお仕事しているんだろう。今度聞いてみよう。

  ☆

 月曜の朝、私はなるべくぎりぎりに学校に着くように出勤した。あまり時間があって小野先生と話すのも気まずかったし。

「おはようございます、浅木先生」
 なのに、いきなり声をかけられて身構える。
 どんな顔して話したらいいんだろう。