しらすの彼

 よく知りもしない男の人を、部屋にあげることがどれほど危険であるかはわかっているつもり。
 でも、私のために、誰に頼まれたわけでもなく見守っていてくれた。
 この人が、小野先生と同じ迷惑な人だなんて思えない。
 だから、私は私にできる範囲で、相良さんにお礼の気持ちを示したい。

「あの、ご迷惑ですか?」
「とんでもない! でも……本当に、いいの?」
「ぜひ。あ、でも味は保証しません。まだ、お料理、あまりできなくて。ちゃんと胃薬も用意しました」
 私が言うと、相良さんはちょっと笑ってくれた。
「じゃあ、ごちそうになろうかな」
「はい」
 私も、ほ、として笑った。


 私が用意した朝ごはんは、焼き鮭と、ハムとウィンナーと千切りキャベツを添えた目玉焼き。作り立てのお豆腐ときゅうりの浅漬けとたくあん。あとは梅干しとかのりとか。
 そして、見かければ買うようになってしまったしらす。今日はおろし大根を添えてみた。

「うわ、すごいね」
「相良さん、たくさん食べるって言っていたので冷蔵庫の中のものありったけ出しました。足りなかったらごめんなさい」

 じゃがいもとたまねぎのお味噌を渡す。ご飯も急いで3合炊いた。たりるかどうかわからないけど、うちの土鍋じゃこれしか炊けなかった。

「十分だよ。こんなにきちんとした朝ごはんなんて、どれくらいぶりだろう。嬉しいなあ」」
 相良さんは、きちんと手を合わせていただきますというと、早速食べ始めた。