「よく会うな、とは思ってたけど……本当に近所だったんだ」
「え?」
「俺んち、あっちの棟。5号」
「え! 私、2号です」
「ああ、反対方向になるから、ここで会ったことがないんだな」
立地が東西にVの形に並んでいるこのアパート群は、むこうとこっちじゃ通る道が全然違う。だから、スーパーから家までは、私のアパートと相良さんの住んでるアパートでは帰り道が一緒にはならない。
「ご近所さんだったんですね」
「もしかして、一人暮らし?」
「はい。この春にこっちに出てきて就職したばかりで」
「そっか。俺、5号の105だから、なにかあったら駆け込んできなよ。それと」
相良さんが、すい、と顔を近づけてきた。私の胸がどきりと鳴る。
「聞いておいてなんだけれど、得体の知れない男に自分のことあんまり話しちゃだめだよ。一人暮らしとか、極秘事項だから。セキュリティは厳しくね」
私の耳元で、そう囁いた。
「え?」
「俺んち、あっちの棟。5号」
「え! 私、2号です」
「ああ、反対方向になるから、ここで会ったことがないんだな」
立地が東西にVの形に並んでいるこのアパート群は、むこうとこっちじゃ通る道が全然違う。だから、スーパーから家までは、私のアパートと相良さんの住んでるアパートでは帰り道が一緒にはならない。
「ご近所さんだったんですね」
「もしかして、一人暮らし?」
「はい。この春にこっちに出てきて就職したばかりで」
「そっか。俺、5号の105だから、なにかあったら駆け込んできなよ。それと」
相良さんが、すい、と顔を近づけてきた。私の胸がどきりと鳴る。
「聞いておいてなんだけれど、得体の知れない男に自分のことあんまり話しちゃだめだよ。一人暮らしとか、極秘事項だから。セキュリティは厳しくね」
私の耳元で、そう囁いた。



