透き通った君に僕の初恋を捧げる


「私、ここに幽霊がいるという事実が怖くて怖くて堪らないのですけど逃げてもいいですかね。」
「駄目です。」

 食い気味に止められた。しゅんと小さくなるシエナ、そして次にはじめが手を挙げた。

「次僕いいですか?」
「どうぞ。」

 樟葉がシエナと同じくはじめを指した。なぜさっきからこんなに仰々しいのか。
 指されたはじめは自分の学生カバンの中から一台のカメラを取り出した。そして桔梗がいる何もない空間に頭をさげる。

「写真を撮らせてください。」
「えっ。」

 桔梗が口に手を当てて驚いている。
 幽霊の自分を撮影しようとする人がいるなんて、普通の人じゃ思い浮かばないよな。

「僕写真が、心霊写真を撮るのが好きなんです。一枚撮らせてください!!」

 綺麗な90度のおじぎを見せる、こんなに声を張り上げたはじめは久々に見た。
 心霊写真などあの時撮った一枚しかないはずなのにすっかり心霊写真のプロのようだ。

「写るかどうかわかりませんけど…、私で良かったら。」
「構わないみたいだ。」
「ありがとう!!」