透き通った君に僕の初恋を捧げる

 そこからは全員で部室へと向かった。
 言いようの無い緊張感が漂ってはいたものの俺は桔梗が離れないか、迷子にならないかが心配でずっとそわそわしていた。
 部室につくと、普段は俺たち四人の分しか椅子を置いていないため新しく空き教室から椅子を持ってこようとしたが桔梗はそれを止めた。

「普通の椅子だと座れないんです。」

 桔梗はそういうと俺の椅子に軽く触れてひっぱっる。すると白く透けた椅子が俺の椅子の中から飛び出した。
 普通の椅子は無理でもこれには座れる様だ。

「幽霊ってすげぇ……。」

 こうして全員で机を囲った。
 誰から何を離そうか、ここはやはり俺から話すべきなのか。
 今日はずっと部活の空気が重たい。そう悩んでいると、すっと樟葉が手を挙げた。

「とりあえず、自己紹介からしない?私は葛籠樟葉、そっちのカメラは四月一日はじめ、隣の外国人っぽいのが小鳥遊シエナ、最後に聞いてるとは思うけど宮澤尊。全員三年生だけど、皆特に厳しく無いからそんなに気にしないで。」

 俺以外には何も無い、誰もいないようにしか見えていないはずの空間に樟葉が喋りかける。
 桔梗も樟葉の言葉を頷きながら聞き、最後には「はい!」と嬉しそうに返事をした。

「で、私たちには貴方の声は聞こえないんだけど。そこのアホな先輩を通して自己紹介。出来る?」

 桔梗は俺の方を見ると「お願いできますか?」と頼んできた。あったりまえだバッキャロウ。

「私は…。」

 桔梗の言葉を聞いて俺が皆に伝える。