透き通った君に僕の初恋を捧げる


「ひぁっ!?」

 掴まれた俺の腕は桔梗の身体をすり抜ける事はなかった。
 俺の手の平は引っ張られるがままに彼女の胸を触っていた。
 味わったことのない柔らかい感触に反射的に手を離そうとしたとき、桔梗は俺の反射より早く俺の横頬をひっぱたいた。

「ごめんなさい!!」

 衝撃で思わずよろけた、然しそれは肉体的ダメージより圧倒的に心理的ダメージだった。
 俺は故意ではなかったとしても彼女が嫌がるような事をしてしまった。それがショックだった。
 でも、きっと渾身の力で叩いたはずなのにそこまで叩かれた所は痛くなかった。
 これが男女の力の差なのだろう。可愛い。

「うわっ!!尊くん、顔!!」

 シエラが俺の顔を指す、同じく俺の顔を見たはじめが自分のスマホで俺の写真を撮るとそのまま俺に見せてきた。

「おぉ…。」

 その写真の俺の頬にはくっきりと手形が浮かび上がっていた。
 桔梗が叩いた所に間違いない。
 かといって痛いわけでもないし、桔梗がつけてくれた跡だと考えたら不思議とにやけてしまった。

「え、何々尊怖い。幼馴染でも理解出来ない。」
「尊くん、今何が起きたの?」

 怪訝そうな二人に事のあらましを説明する。
 樟葉が引っ張る、おっぱいタッチ、俺ビンタ。とてもシンプルだ。