透き通った君に僕の初恋を捧げる


「樟葉……。」
「それって尊がついに霊感に目覚めたって事!?凄い!!凄いよ尊!!」

 俺の心配をよそに顔を上げ距離を詰めてきた樟葉は笑顔だった。それはもうこの二年間見た事がない程のとびっきりの笑顔。

「え、どこ!?ここ!?ちょっと尊!!教えて!!」
「え。えぇ…えっと。」

 桔梗の方を向くと「大丈夫です。」と頷いたので、ここら辺だと手で桔梗の体の周りを手でなぞる。
 それを見た樟葉は「そこね!?」と俺が空中に描いた枠の中にわざわざ制服の袖をまくり手を突っ込んだ。

「おぉ……。」

 樟葉の手は綺麗に桔梗の胸に突きささり、そのまま貫通した。
 中々衝撃的なシーンである。桔梗も驚いてはいるものの痛くはないらしい。

「なんか、腕が嫌な感じする。」
「思いっきり刺さってるからな。」

 腕を抜くとちょうど突き刺さって桔梗の身体、内側に触れていた部分を嫌そうに撫でる。
 樟葉の顔から見るにあんまり良い物ではないらしい。

「尊もやってみてよ。」

 ぐいと腕を掴まれ引っ張られる。突然の事に俺は抵抗もできずに引っ張られた。
 その時俺の頭に稲妻が走った。俺は今朝、彼女の腕を掴んだのだ。そして引き止める事が出来た。
 つまりそれは、俺は桔梗が見えるだけではなく触る事が出来るのだ。
 それは一体何を指し示すのだろうか。