「っ、いか、なきゃ……っ」


溢れかけていた涙を手の甲でごしごしとこすり、立ちあがる。そのまま部屋から飛び出る。


「由姫?どこへ行くの?」

「門限までには、帰るからっ!いってきます!」



お母さんにそう告げ、ドアを勢いよく開ける。


「はっ、はぁ……っ」


お願い……!


「れーくん……っ!!」

「っ、由姫!?」


あ、いた……。


「ふ、えっ……よか、った……れーくんっ」

「ゆ、き?なんで泣いてるんだ?何かあったのか……?」


れーくんがいて安心して、涙がとまらない……っ。


「私ね……っれーくんに、言わなきゃいけないことがあるの」

「……なんだ?ゆっくりでいいから教えてくれ」


れーくんに伝えたい事。それは――――――


「す、き……っ」

「……っ!?」

「いつも優しくしてくれるれーくんが、大好きなの……っ」


そういうと、もう後戻りできないんだなって思って涙が止まらなくて、時々嗚咽がもれる。


「由姫……っ」

「へっ……?れーくん!?」


れーくんの体温に包まれて、暖かい……私、抱きしめられてる?