二人は、私の笑顔に安心したのか口元を緩めている。


「そうね、すぐ引っ越しだから、急がないとね!」

「家とか探さなきゃじゃん」


わいわいと、さっきまで静かだった部屋に笑い声が広がっていく。


「新しい学校、楽しみだなぁ……っ!」

自分の気持ちに、嘘をついて。



それからしばらくして。

私は引っ越しの準備で忙しく、nobleのアジトには行けてない。

引っ越しの前に、一言言っておきたいのに……!

連絡先を交換していなかったことを、心底悔やむ。

ちらっとカレンダーを見て、はぁ、とため息をつく。


「あと……三日」


アジトに行けなくて二週間。あと三日で……みんなと離れ離れだ。


「……っ」


じわっと涙があふれてきて、とまらない。


「れーくん……っみんなぁ」


みんなの顔を思い浮かべる。


凜ちゃんは、かわいくて、弟みたいな男の子。

勇くんは、顔はちょっと怖いけど……すごく優しい。

しゅーちゃんは、いつもピシってしてるけど、時々悪い顔をする。

れーくんは……かっこよくて、優しくて、私のことを、いつも、考えてくれて……っ。