彼のまわりだけキラキラ輝いていて、眩しくて仕方ないんだ。


ようやく心臓が落ち着き始めた頃、美穂と有子の2人が教室に戻ってきた。


それぞれの手には紙パックのジュースが握られている。


「あ、五十嵐くんなに読んでるの?」


美穂が大きな声で五十嵐浩介に声をかけて駆け寄っていく。


「それ有名なマンガじゃん! 今度私にも貸してよぉ」


有子が甘えたような声で言っている。


見ないようにしていたけれど、やっぱり気になってチラリと後方へ視線を向ける。


そこには2人に挟まれるようにして立っている五十嵐浩介の姿があった。


右手にマンガを持っていて、少し困ったように眉を下げている。


「あれ、五十嵐くん絶対困ってるよね」


「うん……」