「え……?」


予想外の言葉に驚いて目を見開く。


「プリンセス決めの時に君が他薦されて、これはチャンスだと思った。想像していた通り、君はすごく素敵で、メークが映える子だった」


「そんな、私なんて……」


他の子たちに比べれば突出したところもない、平凡な女子高生でしかない。


「メークをしていて思った。君は心までキレイな子なんだって。君こそ、俺のプリンセスだ」


五十嵐浩介の言葉にお客さんたちが悲鳴を上げる。


私はその場から逃げることもできずに、ただただ五十嵐浩介に抱きしめられていた。


「プリンセスは交代したほうが良さそうだね?」


クスクスと笑い声が聞こえてきたと思ったら、スッとティアラが差し出された。


それはおもちゃのティアラで安っぽくておしゃれじゃない。


だけど飯田さんはそれを大切な宝物のように両手で持ち、私の頭に乗せてくれたのだ。


「でも、これはっ」


「いいの。元々プリンセスなんて興味なかったし」