リセット〜君を救うために、何度でも〜

高校生活は瞬く間に過ぎ去っていく。

5月の体育祭。
高校ではクラスごとで競う競技が多く、リレーもそのひとつだった。
類くんはクラスの中でも足が速かったから、リレーでアンカーを任されていた。

バンッという音で私達の学年のリレーは始まった。やはり、1番人気の競技だからか、皆の声援も大きい。
そして、いよいよ最後の走者にまわる。

アンカーに渡される直前、私達のクラスは6人中3位。クラスの皆が1位は無理だと諦めた時だった。
類くんにバトンが渡った瞬間、類くんは前を走っていた人に追いつき、抜かしていく。
類くんは、見事に1位でゴールしたのだ。

やっぱり類くんはすごい!!
そう思った時だった。

「かっこいい……」

そう呟いたのは、クラスの何人かの女子だった。

たったそれだけなのに、私の心臓がツキリと痛みを発する。

この気持ちは、多分嫉妬だ。

私はただただ唇を噛み締めることしかできなかった。