静かに、近づく。
そして、後ろからぎゅっと抱きしめた。
「類くん、もういいの。もう運命を変えなくていいんだよ。」
類くんが振り向く。
その頬には、涙が伝っていた。
ふふ、また泣いてる。
「類くん、この世界は幻でできた世界なの。だから、どんなに類くんが私を助けようとしても私を助けることはできない。そして、類くんがつけている時間を巻き戻せる腕時計はね、時間を巻き戻す代償として一日分の寿命を奪われてしまうの」
類の頬を手で包みこんで、伝う涙を拭った。
なのに、類くんの涙はどんどん溢れてくる。
「急にいなくなっちゃってごめんね。私を助けるために、こんなに自分を犠牲にさせてごめんなさい」



