確かにドアのような形をしていた。
なぜそれに気づけたか。
それは、この部屋で初めての白以外の色だったから。
あれは、この世界じゃない、
違う所から来たんだ。
多分、そのドアの先は。
それからはひたすら走って、走りまくる。
どれだけ息が切れようと、何度転ぼうと走り続け、そして、やっとたどり着いた。
それは確かにドアだった。
爽やかな青色をしているような、暖かいオレンジ色をしているような、新品のような、でもどこか古いようなそれは、不思議なオーラを醸し出す。
慎重に手を伸ばした。
その手はドアノブをしっかりと握る。
ガチャリ
ゆっくりと扉を開く。
何も見えない。でも。
私の会いたい人が、この先にいる気がした。
ドアの中へ歩き出す。
「いってらっしゃい。」
そんな声が、とても小さく、どこからか聞こえたような気がした。



