白い人は、静かにため息をつく。
「それはない。」
「え」
「いくらその子が頑張ろうと君が死んだ事に変わりはない。これは自然の摂理だ。誰にも死は覆すことはできない。」
「それじゃあ、類くんは……」
「あぁ、この力を与えた奴に唆されているんだ。どんなに頑張っても、君を救うことはできない。掌の上で転がされているんだよ。」
スクリーンには、私とバスに乗る類くんの姿、その次の瞬間、私は死んでいた。
類くんは歯を食いしばった後、どこかを睨みつける。誰を、何を睨んでいるのかは見えない。ただ、その先に、類くんに力を与えた人がいるんだと感じた。
「………今すぐ、止めに行かないと。」
立ち上がって周りを見渡す。
どこかにドアがあるかもしれない。
そこから出れば…っ!
そう思って歩き始めても、あるのは白い壁と白い床、白い天井。
どこにもドアなんてものはなかった。
すると、後ろから声がする。



