神殺しのクロノスタシスⅣ

「…そんな訳だからナジュ君、これから、外に出てどら焼き食べに行かない?」

…は?

…何がどう繋がって、どら焼きの話に?

「…どうしたんですか、いきなり」

「いや、昨日保健室に顔を出した生徒が、『王都の○○駅近くにある和菓子屋さんのどら焼きが美味しい』って言ってて。折角今日お休みだから」

「僕と行くんですか?」

「一人で行くのも寂しいなぁと思って…。ついでに、学院長先生達にもお土産買って帰ろうよ」

学院長って、あんこ食べるのかな。

チョコと生クリームのイメージしかないけど。

「それと、雑貨屋さんにも寄りたいんだよ」

雑貨屋?

「ほら、前に名札を生徒にデコられたでしょ?今度はペンケースを狙われてて…」

と、天音さんは、飾り気のない黒いペンケースを手にした。

「このままじゃ、また生徒の玩具にされちゃうから、いっそ自分でデコレーションしてみようかなって。ナジュ君ならセンス良いし、アドバイスしてもらえないかな」

あぁ、成程…。

じゃ、僕に頼んだのが運の尽きだと、教えなければなりませんね。

「分かりました。では天音さんに似合う…素敵なフェイクスイーツを選ぶとしましょうか」

「え?ちょ、いや、そういうのじゃなくて」

天音さんに似合うって言ったら…なぁ?

生徒の玩具にはされないけど、僕の玩具にはなる。

「じゃあ行きましょうか、天音さん」

「う、うん。出来るだけ、その…格好良いデコレーションにしてね?」

「…」

「え、何で黙るのっ!?」

いや、僕はあくまで。

本人に似合うものを選ぶのがお洒落だと思ってますので。

あなたに似合う…優しいデザインを、選んでみせますよ。