神殺しのクロノスタシスⅣ

あぁ、もう頭が痛い。

「イレース…。本当にファラリスの雄牛を使うべきなのは、この二人なのかもしれない…」

「奇遇ですね。私もそう思いました」

だよなぁ。

逃亡癖が酷過ぎるよ。

「とにかく…お前ら、もうすぐ授業が始まるから、寮に帰って制服に、」

「でも、ちゃんと取ってきたよ」

は?

「うん。俺も聞いてきた〜」

は?

お前ら今、何て言った?

まず令月から聞いてみよう。

「令月、取ってきたって、何を?」

何、あの…夜中に路地裏で、窃盗でもしたのか?

ごめんなさいお巡りさん。俺達の監督不行き届きです。

「これ」

何をパクってきたのか、と思ったら。

二、三枚の紙束だった。

印刷の荒い文字が、つらつらと書き連ねられている。

「何だこれ…?」

「えーと、『サンクチュアリ』?が発行しているっていう、裏の新聞」

「!?」

「学院長が、鼻水つけて捨てちゃったって言ってたから。原本をもらってきた」

こ…。

これが…『サンクチュアリ』が発行している、例の新聞?

シルナが、鼻紙代わりにした?

しかも、聖魔騎士団から渡された、コピーではない。

ザラザラとした安っぽい紙、滲んだ黒いインク。

成程、確かにこれは原本だ。

「ど、何処からもらってきたんだ…?」

「通行人の鞄の中からスッた」

お巡りさん。

やっぱり、俺達の監督不行き届きです。

誠に申し訳ないことをしました。

…とりあえず。

令月の後頭部に、無言でチョップを入れようとした…のだが。

さすがは元暗殺者。

素早い動きで、俺の攻撃を躱した。

「避けるな」

「あ、ごめん。でも、撃たれたら避けろ、って教育されてるから」

「そうか」

まぁ、撃たれたら避けにゃならんよな。

それはそうだが、お前が悪いぞ。

本当に、お巡りさんに突き出さなきゃならないかもしれない。

お巡りさんも持て余しそう。